PECS🄬ってなに?PECS🄬はPicture Exchange Communication System の頭文字でペクス(PECS🄬)と呼ばれています。日本では絵カード交換式コミュニケーションシステム™と訳され、それには6つの手順があります!認定言語聴覚士であるロリ・フロスト(CCC-SLP)とアンディ・ボンディ博士により、1985年にPECS🄬が開発されました。PECSは、拡大代替コミュニケーションシステム(AAC)であり、多くの学習者に要求、語彙の発達、質問、コメントの方法を教えるコミュニケーション指導方法です。PECSとは単なる絵カードのセットではありません。診断に関係なくあらゆる年齢の方々に意味のあるコミュニケーションシステムを、体系的に指導する方法です。

PECS フェイズ

説明

フェイズ I: コミュニケーションの“仕方”を教える

自発的な要求

学習者にとても欲しいアイテムの絵カードを取り、その手を伸ばし、コミュニケーションの相手に渡すことを教えます。ここでは2人の指導者で指導を行います。
フェイズII: 距離と持続性

好みのアイテムを要求するために、一枚の絵カードを取りにコミュニケーションブックに行き、その絵カードをコミュニケーションパートナーのところまでもって行き交換するよう教えます。学習者はコミュニケーションブックを持ち歩く事、また、コミュニケーションの相手の注意を引くことも学びます。
フェイズIII: 絵カードの弁別

まず、学習者に好みのアイテムと好みではないアイテムの絵カード間での弁別を教えます(フェイズIIIA)。次に、複数の好みのアイテムや必要なアイテムの絵カードの中から弁別できるようにします(フェイズIIIB)。また、コミュニケーションブックを開き、カテゴリーごとに整理された、絵カードが貼ってあるページをめくることも学びます。
フェイズ IV:  文構成

 

属性語:語彙の拡張

要求したいもの/活動の絵カードと「ください」の述語を文カードに並べて文を構成することを学びます。また文カードに貼られている絵カードをタップすることも学びます。そのあと発語を促しますが、決して発語を強要しません。

 

 

 

学習者は形容詞、副詞、動詞、位置を表す語、その他の語彙をつかって、文章を拡張することを学びます(例:緑のクレヨンで色塗りしたい)。

フェイズ V:応答による要求 ここではPECSの手順で初めてコミュニケーションパートナーが学習者に質問することからコミュニケーションが始まります。「何が欲しい?」「その他に欲しいものは?」などの質問にたいして答える形で自分の欲しいものやしたい事を伝えることができるようになります。
フェイズ VI: コメント

学習者は「何が見える?」「何が聞こえる?」「それは何?」などのコメントに関した質問に答えることを学び、「見えます」「聞こえます」「感じます」「です」等の述語を使っての文構成が、まずできるようになります。最終的な目標は、学習者自身の身の回りの事について自発的にコメントをすることです。

エビデンスに基づいた指導法としてPECSの有効性が240以上の論文で示されています。PECSは機能的コミュニケーションシステムとして開発されました。研究によって、機能的なコミュニケーションシステムを習得することで一部の学習者は発語が出るようになること、そして、学習者の状況にそぐわない行動の理由が要求したい物事や必要なこと、コメントできないことによって起こっている場合、それを減少することできることがわかっています。

PECSに関しての詳しい指導法についての詳細は、弊社ホームページまたは、PECSレベル1ワークショップにてご紹介しています。

 

言語聴覚士として、PECSレベル1トレーニングに参加したことで、私の言語療法の仕方は大きく変わりました。限られたコミュニケーションスキルしか持たない多くの学習者と関わってきましたが、PECSは彼らにコミュニケーションという贈り物を与えてくれました。 誰にでもコミュニケーションする権利があり、それができることで無限のチャンスに満ちた幸せな人生を送ることができるのです。

 

著者:ジョー・アン・B・マッテオ M.S. CCC-SLP

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