日頃より、それぞれの現場での温かい指導と丁寧な支援をいただき、心より感謝申し上げます。
学校の2学期が始まり、成人期(生活介護、就労支援、グループホームなど)の施設でもお盆休みや夏季の変則的なスケジュールを経て、日常の生活リズムに戻る時期を迎えました。
この夏の間、子どもたちや成人期の利用者の皆様(以下、学習者)は、家庭や地域で自分の好きなことにじっくりと取り組んだり、普段とは違う環境で過ごしたりしてきました。そのため、現在の彼らの状況は、1学期や初夏の頃とは大きく変化しているはずです。 新たな活動への興味が芽生えた方もいれば、生活リズムの変化から少し不安定になっている方もいらっしゃるかもしれません。

これからの時期の指導・支援を効果的かつ安全に進めるために、9月はすべての世代の学習者に対して「現在の状況の正しい評価」と「目標の再設定」を行う大切な節目です。
① まずは「現在の状況」を正しく評価(アセスメント)する
過去の計画をそのまま再開するのではなく、まずは「今の姿」を客観的に把握することから始めます。
現在の基準の確認: 今、本人が環境の変化を経てもなお「自発的に」「一人で」できているスキルは何かを正しくチェックします。
モチベーション(強化子)の再評価: 年齢を重ねるにつれ、また過ごす環境によって、好きなものや活動の価値は移り変わります。今、何が本人にとって最も強い強化子になるかを改めて見極めましょう。
② ご家族・スタッフ間で話し合い、12月までの目標を設定する
今月中に、保護者の皆様や、成人期支援に関わる多職種スタッフ(生活支援員、就労支援員、ケアマネージャーなど)が集
まり、本人のアセスメントを共有する機会を設けましょう。
12月末までのゴールを決める: 「12月までに、どのような具体的・実用的なコミュニケーションができるようになってほしいか」を話し合います。学校生活、あるいは地域生活や作業の現場で、本人の意思決定を助けるための目標を共有しましょう。
一貫した介入プランの作成: 目標が決まったら、そこへ向けてチーム全員が同じ方法でアプローチできるよう、具体的なステップを設定してみましょう。
学校生活への復帰や、福祉サービスにおける社会生活の中では、どうしても夏の間のような「自分のペースでの自由な生活」から一変し、制約が増えることになります。
家庭や自由時間では「好きなものややりたいことにすぐアクセスできた」環境から、集団生活や作業の現場では「順番を待つ」「今は提供できない(アクセスの遅れ)」という状況が頻発します。また、直前のスケジュール変更や、苦手な課題・作業への直面など、様々なストレス要因(対人関係、環境の制限)が現れます。
このとき、自分から周囲に意思を伝える「表出コミュニケーション」の手段を十分に持っていない学習者は、次のようなメッセージを周囲の先生やスタッフに伝えることができません。
「今、あれがやりたいです / 欲しいです」
「この課題・作業は難しいです。手伝ってください」
「予定が変わって、不安です」
自分の意思を正しく伝える適切な方法がわからないため、結果として「大声を出す」「物や人に当たる」「激しく拒否する」「その場から離脱する」といった、状況にそぐわない行動として現れてしまうのです。私たちは彼らに、周囲に伝わる確実な「コミュニケーション手段」を提供しましょう。ここで、PECS®(絵カード交換式コミュニケーションシステム)等の表出コミュニケーションを教え学習者の方々の幸せな自立の生活ができるように支援をしていきましょう。
季節の変わり目であり、生活環境が引き締まるこの9月は、学習者たちにとっても心身に大きなエネルギーを要する時期です。だからこそ、ライフステージに応じた彼らの「今」を丁寧に観察・評価し、ご家族と各福祉サービス・学校が同じ目標に向かって歩みを揃えていきましょう。
それぞれの現場で奮闘される皆様が、同じ方向を向いて一貫した支援を届けられるよう、今月もチーム一丸となってサポートしてまいりましょう。どうぞよろしくお願いいたします。

