PECS®の始め方

PECSをどのように始めたらいいのか悩んだことはありませんか?PECSを始める前に考慮すべき事柄が いくつかあります。言葉を発しない子どもに機能的なコミュニケーションシステムを与えたいと思い、PECSレベル1ワークショップを受けたものの、あまりの情報量の多さに圧倒され、最初に何をしたらいいのか分からなくなってしまった方もいるかもしれません。特別支援学校の先生や支援者、言語療法士、保護者、ご家族等どんな役割であれ、皆同じようにPECSの手順に従って進めていきます。
このブログでは、学習者にPECSを導入する前に考えておきたいこと、設定しておきたいことをいくつか紹介します。
PECSの候補者は?
私たちが「機能的コミュニケーション」と呼ぶ本当の意味は、自分の欲求やニーズを自発的かつ自立的に相手に伝え、他者と社会的に交流することが出来るということを意味します。 機能的コミュニケーションは、発語、手話、ジェスチャー、PECSの場合は絵の交換などを通じて行われます。コミュニケーションが真に機能的になるために、学習者がコミュニケーションを始められなければいけません。コミュニケーションは、複数の単語を使い、年齢に応じた適切な語彙数で、不慣れな人が聞いても理解出来るようになる必要があります。コミュニケーションの発達過程については、コミュニケーションの発達過程に関するインフォグラフィックをご覧ください。
もし学習者の現在のコミュニケーションスキルがこれらの項目に当てはまらない場合、PECSの候補者である可能性があります。フローチャートは、PECSの候補となる方々の特徴をまとめたもので、簡単なアセスメントとしても役立ちます。
強化子
PECSの最初の段階は、学習者が好きなもの(強化子になるようなもの)を要求することを教えます。学習者は好きなものを得るために絵カードと交換し、その物を直ぐに受け取ることで行動が強化され、将来この絵カードの交換が行われる可能性を高めます。
強化子で典型的なものは、学習者が好み、やる気を出させるもの、もしくは楽しめるおもちゃや活動などがあります。簡単な事の様に思われますが、対象の方に合った強化子を見つけることが難しい場合もあり、様々な発想が必要な場合もあります。例えば「学習者が大きな冷凍食品を入れるエコバッグの中に入ってお母さんに部屋の中でぐるぐる回してもらう」というユニークな強化子もありました。楽しそうですね。
効果的かつ強力な強化子を見つける最も簡単な方法は、学習者の知人(例:親、兄弟、教師、友人、支援者等)に、学習者が本当に好きなものや、楽しそうにする活動などを尋ねることです。もし聞くことが難しい場合、いくつかのおもちゃの使用や、活動が出来る自由な空間や時間を作り、対象者が何に興味を示すのかを観察してみることも一つのアイディアです。それでも分からない場合は、学習者に様々な物を提示した際、それを無視/否定するのか、もしくは受け入れるのか、遊ぶのか、楽しんでいるのか等を記録するというアセスメントを行う事も有効です。このように学習者が様々なアイテムに対して見せる情報を得る事が出来れば、それを使うことで「好きなものや、好きな活動の強度の順番」を書き出すことが出来ます。
PECSの試行を開始する際に使えそうな好きなアイテムを最低3つくらいまず準備してみてください。その後、他の感覚を刺激するおもちゃや楽器、 好きな作家の本等学習者が現在持っている強化子のコレクションをどんどん増やしていくことを考えていきます。その他にも野球バットとボールの様に、一つの物を組み合わせて使うとより強化的になる可能性もあります。
教材の準備と収納
弊社のウェブサイトでは、無料サンプルの絵カードを様々なイベントや行事ごとに分け、複数アップしています。また、既製品をお探しの方は、頻繁に使われる語彙151個まとめた絵カードPECS151の製品の中に、ラミネート加工されたカラーの絵カードがあります。より多くの語彙をアクセスしたい方は、3400以上の語彙が含まれたPics for PECSのCD―ROMまたはダウンロード型がご購入可能です。絵やシンボルセットを提供している業者は沢山ありますので、色々な商品をみて、学習者に合うものを探して みて下さい。支援学校等で仕事をされている方は、既にシンボルのセットを購入されているかもしれませんので、確認してみて下さい。
描かれた画像ではなく、物の写真を使用する場合は注意する点があります。写真を使う場合、写真に写っているものと全く同じもの(例:赤と青のヨーヨー)を与えないと、学習者が癇癪を起こしてしまう場合があります。故に、PECSを使い始める段階から般化のスキルを導入していくことをお勧めします。
絵カードの耐久性を高めるために、絵カードをラミネート加工することをお勧めします。角を丸くすることはシンボルの寿命を延ばし、学習者がラミネートを剥がそうとする可能性が少なくなりますので、作成した絵カードが使えなくなることを防ぐことが見込めます。コーナーカッターと呼ばれる小さな器具を使うと、簡単に角を丸めることが出来ますので試してみて下さい。
学習者の保護者様、先生方、介護士、支援者の方々であれば、整理整頓をしておかないと絵カードが貯まっていき、散乱したり紛失したりすることは経験済みだと思います。整理整頓をする為に、様々な方法を皆様利用 されています。ミニの引き出しがたくさんついたプラスチック製の収納庫はとても人気がありますし、釣具箱や仕切りがたくさんある箱等も人気があります。
学習者が各フェイズを習得していくにあたり、コミュニケーションブックを持って動き回るようになると、絵カードを落としてしまうことがあります。絵カードを作るとき、裏にマーカーペンで学習者のイニシャルを入れておいたり、お名前ハンコで学習者の名前をスタンプしておくと、見つけたときに誰のものか分かるようになりますので参考にして下さい。
著作者: Lucy Hotchkiss
© Pyramid Educational Consultants UK Ltd 2021

